initctl(8) | System Manager's Manual | initctl(8) |
名前¶
initctl - init デーモンの制御ツール
書式¶
initctl [OPTION]... COMMAND [OPTION]... ARG...
説明¶
initctl はシステム管理者へ Upstart の init(8) デーモンとの通信や対話を可能にする。
initctl として実行する場合、最初のオプション以外の引数は COMMAND である。グローバルオプションはコマンドの前もしくは後に指定できる。
コマンド名に因んだ名前で initctl へのシンボリックリンクもしくはハードリンクを作ることができる。 これらのリンクを通じて呼び出した場合、ツールはグローバルオプションとコマンド固有のオプションを混ぜたオプションとともにそのコマンドのみの動作をする。 既定のインストールでは start, stop, restart, reload そして status コマンドへのリンクが提供される。
オプション¶
- --system
- init(8)
デーモンとの通信は通常プライベートなソケット接続上で行われる。これはサービスの開始や停止、D-Bus
システムバスデーモンへの変更によって影響されたくない、システムの再起動するためのコマンドを発行する場合に、速度や堅牢性についての利点がある。
プライベートなソケットを使用する不都合としてセキュリティの問題がある。 init(8) は、このソケットを通じての通信を root ユーザーにだけ許可する。 これは status や list といった読み出し専用のコマンドが、他のユーザーでは実行できないことを意味する。
--system オプションはプライベートソケットではなく D-Bus システムバスを経由した通信をするように initctl へ指示する。
これは、システムバスデーモンが動作しており、 init(8) がそこへ接続されている場合にのみ使用可能である。 利点は、既定のセキュリティ設定では、読み込み専用のコマンドの利用を非 root ユーザーにも許可していることである。
- --dest
- --system を使う場合に、
init(8)
デーモンへの周知の名前を指定する。
init(8) デーモンは既定値として com.ubuntu.Upstart という名前を使うので、通常このオプションは使用する必要はない。しかしながら、デバッグ用には有用かもしれない。
- --no-wait
- start, stop, restart そして
emit
コマンドに適用される。
通常 initctl はコマンドの終了を待つ。
start, stop そして restart コマンドでは、コマンドの終了は、指名したジョブが動作している (あるいはタスクが完了した) もしくは完全に停止したことを意味する。
emit コマンドでは、コマンドの終了は、イベントによって影響するすべてのジョブが動作している (あるいはタスクが完了した) もしくは完全に停止したことを意味する。
このオプションは代わりにゴールの変更、もしくはイベントがキューイングされることだけを待つように、これらのコマンドにもたらす。
- --quiet
- すべてのコマンドの出力を減らしエラーのみにする。
コマンド¶
- start
- JOB [KEY=VALUE]...
指名した JOB の新しいインスタンスの開始を要求し、コマンドが完了した時に標準出力へジョブのステータスを出力する。
出力形式の説明については status を参照。
任意の KEY=VALUE 引数は開始するジョブへ渡すための環境変数を指定し、その環境へセットする。これらは複数のインスタンスジョブのうちどのインスタンスが開始すべきかを指定するのに役立つ。
ほとんどのジョブは単一のインスタンスだけを許可する; これらの設定にある instance 節を使ったジョブはインスタンスに名前をつけるために環境変数から拡張した文字列を定義する。 開始する固有のインスタンスの数だけ固有の名前がこの節によって生成される。従って環境変数はどの JOB のインスタンスが影響するかを選択するために役立つ。
ジョブがすでに動作している場合、 start はエラーを返す。
- stop
- JOB [KEY=VALUE]...
指名した JOB のインスタンスの停止を要求し、コマンドが完了した時に標準出力へジョブのステータスを出力する。
出力形式の説明については status を参照、またインスタンスについての議論は start を参照。
- restart
- JOB [KEY=VALUE]...
指名した JOB のインスタンスの再起動を要求し、コマンドが完了した時に標準出力へジョブのステータスを出力する。
出力形式の説明については status を参照、またインスタンスについての議論は start を参照。
JOB のインスタンスが存在する場合にだけ、このコマンドを使うことができる点に注意すること。もしない場合は新しいインスタンスを開始せずにエラーを返す。
- reload
- JOB [KEY=VALUE]...
指名した JOB インスタンスの実行中のプロセスへ SIGHUP シグナルを送信する。
インスタンスについての議論は start を参照。
- status
- JOB [KEY=VALUE]...
指名した JOB のインスタンスについてのステータスを要求し、標準出力へ出力する。
インスタンスについての議論は start を参照。
単一のインスタンスのジョブでは、次のような行が出力される:
job start/running, process 1234ジョブ名は現在のゴールと選択したインスタンスより先立って与えられる。ゴールは start または stop のどちらかで、ステータスは waiting, starting, pre-start, spawned, post-start, running, pre-stop, stopping, killed または post-stop のうちのひとつである。
ジョブが活動中のプロセスを持つ場合、プロセス ID が同一ライン上に続く。状態が pre-start または post-stop の場合、これは同等のプロセスのプロセス ID となる。そうでなければ、メインプロセスのプロセス ID である。
job start/pre-start, process 902post-start と pre-stop の状態では帰属する複数のプロセスを持つことがあり、余分なプロセスはタブで字下げされた連続した行として続く:
job start/post-start, process 1234
post-start process 1357メインプロセスがない場合、同じ行に続くが、与えられたメインプロセス ID ではないことを示すために接頭辞が付けられる:
job start/post-start, (post-start) process 1357複数のインスタンスを許可されるジョブはそれぞれインスタンス名を持ち、出力は、ジョブ名に続き括弧に入れられる点を除いて上記のそうでない場合と同じである。
job (tty1) start/post-start, process 1234
post-start process 1357 - list
-
既知のジョブとインスタンスのリストを要求し、それぞれのステータスを標準出力を出力する。
出力形式の説明については status を参照、またインスタンスについての議論は start を参照。
出力についての特別な順序はなく、(括弧内に現れるインスタンス名を除いて) 単一のインスタンスと複数のインスタンスのジョブの出力に違いはない。
- emit
- EVENT [KEY=VALUE]...
指名した EVENT を発行することを要求し、これらの設定にある start on や stop on 節の利用に依存してジョブの開始や停止を潜在的に引き起こす。
任意の KEY=VALUE 引数はイベントへ含めるための環境変数を指定する。従って、イベントによって開始、停止したジョブの環境へエクスポートする。
環境変数は、複数のインスタンスのジョブのうちどのインスタンスを開始、または停止させるべきかを指定するのに役立つ。 インスタンスについての議論は start を参照。
このコマンドで発行されるイベント名には制限はない。新しいイベントを考案し、ジョブの設定で使用するのは自由である。
既定の Upstart の設定で使用される最もよく知られるイベントは runlevel(7) イベントである。これは通常 telinit(8) や shutdown(8) ツールによって発行される。
- reload-configuration
-
設定の再読み込みを init(8) デーモンへ要求する。
init(8) は inotify(7) で設定ファイルのあるディレクトリを監視しているため、このコマンドは一般的には必要としない。
このコマンドではいかなるジョブも開始しない。
- version
-
動作中の init デーモンのバージョンを要求し、出力する。
- log-priority
- [PRIORITY]
PRIORITY 引数とともに呼ばれた場合、 init(8) デーモンは優先度 (priority) 以上のすべてのメッセージを記録する。これは記録されるメッセージ量の増加、減少の両方のために使うことができる。
PRIORITY は debug, info, message, warn, error あるいは fatal のいずれかのうちのひとつである。
引数なしで呼ばれた場合、 init(8) デーモンが記録するであろう現在の最低限のメッセージ優先度を要求し、標準出力へ出力する。
著者¶
Scott James Remnant <scott@netsplit.com> によって書かれた。
バグ報告¶
バグ報告は <https://launchpad.net/upstart/+bugs> までお願いします。
著作権¶
Copyright © 2010 Canonical Ltd.
This is free software; see the source for copying conditions. There is NO
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PURPOSE.
関連項目¶
2010-02-04 | Upstart |